
ベンダーとユーザーの中間に位置する編集者兼記者という中立的な立場から、ITの世界をウォッチし続けている新野淳一氏。豊富な取材活動で入手した最新情報をベースにした独自の視点で、ITのエコについて幅広く語っていただいた。第1回目のテーマは、グリーンIT。

2つに分けて考えるといいでしょう。よくいわれることですが、1つはITそのもののCO2排出量を削減する「グリーン of IT」、もう1つはITを活用してグリーン化を進めようという「グリーン by IT」です。
「グリーン of IT」の具体例としては、コンピュータの電力消費を減らしたり、モニターをブラウン管から液晶に替えたりというものです。こうした進化はテクノロジーがドライブしており、主役はあくまでベンダーサイド。企業はより電力効率の良いIT機器やITシステムに買い替えることで、グリーン化を図ることになります。
一方、「グリーン by IT」の主役は企業などの利用者サイドです。たとえば、ITを使って物流をより効率的にする取り組みなどが代表的な例で、企業としての戦略や知恵、工夫がグリーン化をドライブします。

前者は数値化しやすいんですよ。以前のパソコンは消費電力100Wだったのに、新型では50Wになりましたというように。後者の場合、配送業務を効率化しようといっても、どれくらい効率化できるか、その結果、CO2をどれくらい削減できるか、などなかなか数値化しにくい面があります。しかし、効率化は企業の経営上のメリットとも直結しており、CO2削減の効果も大きいのです。
「グリーン by IT」を促進するためのヒントとなりそうなのは、最近登場してきているエアコンやハイブリッドカーなどのシステムです。使用している電力量や燃費などを表示してくれます。一見すると見えにくい領域を、システムが見えるようにしてくれ、ここは知恵を働かそうとか、ここは効率化できていないなと、人間が気付くよう「見える化」をする。「見える化」は大きな助けになるのです。
誤解を恐れずにいえば、現時点で本当にグリーンITが必要な企業は、実はそんなに多くありません。自動車の排ガス規制のように、国や法律の規制を受ける企業は少ない。
しかし、先日、国はCO2排出量を25%削減することを宣言しました。いずれはあらゆる産業にそれが割り振られて、削減目標も決められるでしょう。その目標を達成することが各企業、特に大企業には求められるようになるはずです。グリーン by ITによる対応は不可欠になるでしょう。
その際に重要なのは、まず計測し、現状を「見える化」しておくことです。これなしにどこを改善すべきか、どのくらい改善できたかを知ることはできません。今後、企業が本格的にグリーンIT化に取り組むには、「見える化」から始めるのが現実的といえるでしょう。
プロフィール

新野 淳一氏
大学でUNIXを学び、1988年に株式会社アスキーに入社。データベースのテクニカルサポート、IT系雑誌編集などを経て、いったんはフリーランスのライターに。2000年には株式会社アットマーク・アイティの設立に参画し、取締役就任。IT技術系のWEBサイト「@IT」の立ち上げにも関わる。2008年、「@IT」発行人を退任し、再びフリーランスに。2009年からは、独自の視点でIT業界やオンラインメディアの動向をウォッチするブログ「Publickey」を個人で運営。エンタープライズ系ITイベントでの講演なども精力的に行っている。
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